安達・前防衛装備庁技術顧問が語る 防衛技術戦略の未来予想図
みずから提議している問題から逃げています。総論賛成しか言えていない、自分たちの能力不足を自覚すらしていない。
その自覚があれば国内生産企業が決まらないのに、AMVを選定し、しかも音声無線機しか搭載しないか間抜けなことはやっていません。
「人員」については、人材不足の問題があります。防衛装備庁は約2100人の職員(事務官・技官約1700人、自衛官約400人。2024年7月時点)を擁する大きな組織ですが、防衛技術指針に記載されていることを全て遂行するには、質・量ともにまだまだ不十分であると感じています。
他国と同じように調達数、調達期間、調達金額を決めて契約すれば、ずいぶん仕事は減ります。他国が5年で調達するものに30年も人間貼り付けていれば、人手が足らないのも、勉強不足になるのも当たり前です。さらに申せば、メーカーや商社も同様に貧乏暇なしになるのは当たり前です。
耐用年数を過ぎた装備を交換することも可能だったはずです。例えば、戦車の消火器とか各種リチウムイオン電池とか、防弾チョッキとか。一旦調達したら放りっぱなしの装備が大変多い。これらを見直す良い機会だったはずです。
耐用年数が過ぎたものをなんの問題もないかのごとく交換しないのは犯罪的であります。
それがわかっていないのは馬鹿だからです。無能だからです。
政府は7月、2023年度予算に計上した防衛費を巡り、使い残しが約1300億円に上ることを明らかにしました。例えれば、非常に能力の高い戦闘艦艇1隻分が国庫に返納されたことになりますが、苦労して予算を確保したにもかかわらず、忸怩(じくじ)たるものがあったと思います。