統合失調症は100人に1人発症すると言われる。長期一生入院が人権的に問題視される一方で、治療薬の進歩もあり、通院とデイケアや訪問看護により地域で療養治療し社会復帰を、というのがトレンドで訪問看護ニーズは増加傾向にある。

しかし精神科経験がある看護師は少ない、まして在宅、地域での看護つまり訪問看護経験がある精神科経験者がどれだけ集まるのか? 疑問懸念だった。そこに先頃、筆者が主催するSNS上の在宅医療訪問看護のコミュニティで実態暴露なコメントがあり、さらに続いての暴露報道だった。

訪問看護ステーションと訪問リハビリの現状

在宅医療、在宅ケアの歴史は振り返れば、制度を半ば悪用しての荒稼ぎ事業者と行政指導や報酬減算のいたちごっこだった。新分野が営利悪徳業者の草刈り場にされてきた、とも言える。

訪問看護ステーションは訪問リハビリを包含しているが、それを逆手に取って理学療法士や作業療法士が看護師を名目管理者として開業。これはリハビリ専門職が独立開業できないことにも原因はあるが、次には新卒リハビリ専門職を安く雇い一日10件前後訪問させて荒稼ぎする法人が多数現れた。

筆者もそのような法人に在籍していたことがある。リハビリ訪問が短時間で良いことを逆手に取ったのだが、訪問看護の本義から外れるとして行政の指導がされた。

訪問診療が注目されると、有料老人ホームやサ高住(サービス付き高齢者専用住宅)の入居者を次々回って荒稼ぎするクリニックが多数現れた。いくつかの先駆的な在宅クリニックを手掛けた開業コンサルが仕掛けたものだが、これは報酬改定で減算。

そして今回不正が明るみに出たのが、サ高住に訪問看護ステーションや訪問介護ステーションを併設しホスピスを名乗るが実態はただの有料老人ホーム、あるいは精神科専門訪問看護ステーションを名乗り精神科グループホームを訪問し、多人数をまとめて血圧測定程度で荒稼ぎするビジネスモデルである。