私たちヒトは「太郎さん」とか「花子さん」のように特定の名前で呼び合っていますが、同じ能力はこれまでにバンドウイルカとゾウでも確認されています。

イルカやゾウの場合は、特定の仲間に対して特定の鳴き声を紐付けするやり方でネーミングしています。

またヨウム(オウムの仲間)でも親がヒナに名前(固有の鳴き声)を使って呼んでおり、ヒナも以後それを自分の呼び名と認識している可能性が報告されています。

他にもメジロサメにおいて、こうした報告がありますが動物が固有の呼び名を相手に使っているか見極めるのはかなり難しいため、まだ明確なところはわかっていません。

ただ、ヒトの仲間とされる霊長類では、まだ仲間に名前を使うという報告はありませんでした。

そこで今回の調査ではマーモセットも同じことをしていると考え、実験で検証してみたのです。

マーモセットの驚くべき「ネーミング」の能力が判明!

チームは仮説の検証のために、合計10匹のマーモセットを対象とした一連のコミュニケーション実験を行いました。

それぞれの実験ではまず、「友だち」「家族」「夫婦」といった互いにさまざまな関係性を持つマーモセットのペアを部屋に置き、自由にコミュニケーションを取らせます。

その後、マーモセットがお互いの姿を見ることができないよう柵を使って、2匹を空間的に引き離しました。

ペアを順繰りに変えながら、この一連の実験を行います。

そして録音した鳴き声を分析したところ、驚くべきことにマーモセットは柵の向こう側にいる個体に対して、特定のフィーコールで呼びかけていることが判明したのです。

例えば、友だちAには「A」という鳴き方で、子供Bには「B」という鳴き方で鳴き声を発していました。

これはヒトやゾウ、イルカと同じように、マーモセットも特定の仲間を特定の鳴き方でネーミングする能力を持っていることを示しています。

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実験のイメージ図 / Credit: canva/ナゾロジー編集部