「あなたの言っていることは分かります。○○ってことでしょ?でもね……」

相手と意見が対立している時、あなたはよく「反対する理由はわかっている」と相手の考えがをある程度理解している気になっていないでしょうか?

しかし、その感覚は的外れである可能性が高いようです。

新しい研究は、こうした経験が自分だけではないことを示しています。

イギリスの国立大学であるキングス・カレッジ・ロンドン(KCL)に所属するブライオニー・ペイン氏ら研究チームが、人は、自分と反対意見を持つ人の考えを理解できていると強く感じているにもかかわらず、その推測は往々にして間違っていると報告したのです。

研究の詳細は、2024年8月28日付の学術誌『Scientific Reports』に掲載されました。

目次

  • 「意見が異なる相手」の考えを推論する実験
  • ほとんどの人は反対意見を持つ相手の考えを理解できていると勘違いしていた

「意見が異なる相手」の考えを推論する実験

自分とはまったく異なる考えの人間と話し合うとき、あなたはおそらく相手がなぜその様に考えるのかを推測しながら議論しようとするはずです。

冷静に議論を進めるならば、相手の考え方をトレースし、きちんと相手の事情も理解した上で話す方が理性的ですし、それが大人の対応とも言えます。

しかし、反対意見を持つ相手の考えを推論するとき、私たちはどの程度正確に理解できているものなのでしょうか?

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相手の考えを「分かっている風」に話す人 / Credit:Canva

今回、ペイン氏ら研究チームは、人々が他人の考えを推論する時にどのような傾向が生まれるのか調査しました。

アメリカから256人の参加者が募集され、彼らが持つ政治的見解において、保守主義(右派)のグループとリベラル(左派)のグループに均等に分けました。

彼らには、さまざまな政治的なトピック(例:移民は社会に有益である)が提示され、それぞれにどの程度同意するか5段階(強く同意~強く反対)で評価してもらいました。