まず、そもそも人員が少ないのに安倍政権が16隻の潜水艦を22隻に増やした。で、クルーの確保はどうなっているのでしょう。イージス艦ですら6割しか定員を満たしていないのですから、優先しても9割を超えることは難しいでしょう。何しろ適性持った隊員が少ない。

しかも隻数を増やしても他国のように特殊部隊の輸送に使うなどの用途は無視されています。

仮にミサイル潜水艦を導入するとして、既存の22隻体制をどうするのか? そんな話は全く見えてきません。

ぼくは沿岸用の小型の潜水艦の導入をすべきだと思います。つまり海自潜水艦のポートフォリオを見直さないといない。これまでの海幕の潜水艦巨大化路線を見直す必要がある。

しかも海幕にはウリナラファンタジーがあります。海自の潜水艦能力は通常潜水艦で世界一とかいう根拠のない自信です。それを信じ込んでいる。

月刊軍事研究8月号に文谷数重氏の「海自潜水艦はどこまで大型化するのか」という記事が掲載されています。

1970年代の後半以降、日本国内においては「開示潜水艦は世界一静かである」と言われていた。だめだ。ただ、それは当時の日本技術への過度な評価の影響でしかない。実際には開示潜水艦の静粛性は高くないと評価されていた。自艦振動推定機材の導入や、音響環境防止スタイル等の導入でも遅れていた。

これはソナーやシステムでもそうです。官民ともに海外の動向に興味がなく、身内で俺達スゲーとやってきたからです。

オーストラリアへの輸出失敗の原因の一つはこれですが、その現実を見ようともしない。ソナーやシステムの向上のために沖電気とNECの事業統合、その他の電機メーカーの事業統合もしないと無理でしょう。ですが官民ともにやる気がありません。

文谷氏は大型化には理解を示していますが、小型潜水艦の併用の必要性を謳っています。

この規模(6000トンクラスより大型の潜水艦)の潜水艦は東正面では使いにくい。大陸周辺部の水域は浅く、中国側の警戒も厳しいため、運動性が限定され、探知性能で不利な大型潜水艦は向かない。それからすれば、大型潜水艦を整備する際には、小型潜水艦を併用する話も出てくるだろう。 東シナ海でのゲール・デ・クルース用途、例えば敵軍港正面での待ち伏せや琉球列島戦の通過防止に特化した潜水艦である。