政治
2024/09/06
AfD、テューリンゲン州で第1党に:戦後ドイツの転換点になるか
ラメロウ現州首相が率いる左翼党は13.1%の得票率に終わり、BSWに支持者を完全に奪われてしまった。いずれにしても、同州では緑の党が無議席となり、全ての政党がAfDとの連立を拒否しているため、安定した新政権の樹立が難航することは必至だ。ヘッケ氏は「新政権発足の交渉は第1党となったAfDが主導していく」と主張している。AfD抜きの場合、4党連立政権しか過半数を獲得できないが、4党間には政治信条の違いが大きいため、非現実的だ。
ザクセン州では与党CDUが31.9%で、30.6%のAfDの追い込みをかわして第1党を堅持、CDUのクレッチマー州首相はSPD、緑の党の3党連立政権を継続する道が開かれている。左翼党は4.5%で5%の壁を破れずに州議会から追われた。それに代わって、BSWが11.8%を獲得した。BSWは選挙前の目標だった「両州で2桁の得票率」を実現させた。
なお、今月22日にはブランデンブルク州議会選が行われる。ショルツ連立政権の与党3党が旧東独の州議会選では苦戦を免れないと見られていたが、ザクセン州とテューリンゲン州議会選の結果はその予想を裏付けた。ショルツ連立政権の退陣、早期総選挙の実施を求める声が高まることが考えられる。
独連邦憲法擁護庁(BvF)から危険団体と受け取られ、監視対象となっているAfDの躍進はドイツだけではなく、欧州全土に政治的衝撃を投じている。テューリンゲン州のAfDの代表ヘッケ氏は国家社会主義の言葉を彷彿させるレトリックを常用し、国家社会主義に基づく専制政治を公然と主張している政治家だ。ドイツの基本法は「ドイツ国籍を有する者はすべてドイツ人」と明記しているが、ヘッケ氏はそれを認めていない。単なる外国人排斥政策だけではない。反憲法、反民主主義、反ユダヤ主義的な世界観を標榜している。彼は過去、ホロコースト記念碑を「恥の記念碑」と呼び、ドイツの「民族的再生」を強調し、移民や多文化主義に対して強く反対してきた。また、ドイツの過去に対する悔恨を「過度なもの」として捉えている。ヘッケ氏の存在は、AfDが単なる不満票、抗議票を集める野党勢力ではないことを示している。
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