「自閉症」とは、生まれつき対人関係がうまくできず、コミュニケーションが取れなかったり、言語の発達が遅かったりする障害です。
(現在では、自閉症だけでなく、アスペルガー障害、広汎性発達障害などを含む疾患概念として、「自閉スペクトラム症(ASD)」という表現も用いられます)
世界中で100人に1人の子供が自閉症と診断されますが、大人になった患者たちは自閉症の特徴を隠そうとし、自分に大きな負荷をかけながら生活することが多いようです。
彼らは、社会的な交流を求める気持ちと、その難しさや不安に挟まれ、苦しんでいるのです。
では、そんな状況をRPGが少しでも変化させることはできるのでしょうか。
研究チームは、8人の自閉症の人々(成人)を参加者として募集し、6週間のテーブルトークRPG(TPRG)に参加してもらいました。
そして参加者へのインタビューを通して、RPGが及ぼす影響について調べました。
自閉症の人々はTRPGのプレイにより現実世界で前向きになる
TRPGとは、テーブルゲームのジャンルの1つであり、紙や鉛筆、サイコロなどの道具を用いて、人間同士の会話とルールブックに記載されたルールに従って遊ぶゲームです。
プレイヤーは、ゲーム内のキャラクターを演じながら物語を楽しむことができます。
例えば、普段は温厚で慎重な性格な人でも、ゲーム内では「勇敢で向こう見ずな戦士」を演じることがあるわけです。
ちなみに現在、「RPG」と言えば、一般的に『ドラゴンクエストシリーズ』などのコンピュータを用いたゲームのことを指しますが、これらはTRPGをコンピュータで再現したものであり、ゲームの根幹は同じだと言えます。
そして今回の実験に使用されたのは、世界初のTRPGであり、現在でも広くプレイされている『ダンジョンズ&ドラゴンズ』です。