黒坂岳央です。

サラリーマン同士、どうしても気になるのが「この人はどのくらい年収があるのだろう?」ではないだろうか。だが「この人はどんな資産状況なのだろう?」とは思うことは多くない。

その一方で、きれいに真逆なのが経営者だ。経営者の場合は相手の年収より、資産状況を気にする傾向にある。

自分自身、両方の立場を経験済でこの違いをよく理解できるつもりだ。両者の真逆の傾向を取り上げたい。

Deagreez/iStock

サラリーマンは年収が気になる

なぜサラリーマンは年収を気にするのか?この理由は2つある。

1つ目はサラリーマンの場合、その人の力量はかなりの程度が年収に反映されるためだ。利益率の高い業界を選び出し、東京圏内で働き、その中で高値で買い取ってもらえるスキルを有し、そして勤務先で高収入につながる役職を獲得し、40代以降はマネジメント職でキャリアアップをする。これより、高収入を獲得できる。

あらゆる職業の違いはあれど、会社経営における構造はかなり似通っているため、ビジネスの共通語の一つが「年収」なのである。高収入を獲得できるのは、すなわちこうしたビジネス感覚を持っている人物というシグナリングとして機能する。転職の際にも前職での年収を参考にされるし、男性の婚活においても年収は最大級の考慮パラメータであることは疑いようもない。

そしてもう2つ目の理由は、年収がほぼ完全に近い状態で可視化されているためだ。今どき勤務先名や業務内容、役職がわかれば、検索すればほぼ正確にその人の年収がわかってしまう。「自分より上か?下か?」を気にする人は多いし、時に「あの人、えらそうな割に安月給なんだよね」といったゴシップ消費されてしまうこともある。

以上の理由からサラリーマンは年収を非常に意識するのは、ある意味で当然の環境に身をおいているのだ。

社長は年収を気にしない

翻って経営者はサラリーマンほど年収を意識しない。もちろん、全員ではないし、高額な収入を取っている人は明確に優秀である。だが、サラリーマンと比べて、その比率は明確に落ちる。もちろん、自分自身も年収は全然気にならない。より正確にいえば「あまり当てにならない」と考えている。ここからはその理由を取り上げたい。