人間では、目に入るだけで失明したり、大量摂取で心臓麻痺を起こしたりするほど強力なものです。
そして、この恐ろしい影響はオーストラリアの動物たちにとっても同様であり、イグアナやヘビ、オーストラリアワニたちは、オオヒキガエルを食べることで死んでしまいます。
オオヒキガエルは外部から持ち込まれた生物であるため、現地に生息するそれら動物たちはオオヒキガエルに対する生来の防御力を有しておらず、軒並みやられてしまっているのです。
実際、研究者たちは、2008年にオオヒキガエルが持ち込まれた直後のビクトリア川沿いの領域で、ワニの生育密度が77%も減少したことを発見しました。
このような問題は、希少なワニを追い詰めるだけでなく、生態系全体に大きな影響を及ぼします。
そこでワードフィア氏ら研究チームは、「不味いカエル」を使ったある方法で、追い詰められたオーストラリアワニたちを救うことにしました。
「ゲロマズ」カエルでワニたちを学習させる
研究チームは、2019年~2022年にかけて、オーストラリア北西部のキンバリー地域の4カ所に、オオヒキガエルの死骸を散布しました。
これは単なる死骸ではなく、加工された死骸です。
研究チームは、約2400匹のオオヒキガエルを集め、有毒な部位を取り除きました。
さらに、その無毒になったオオヒキガエルのお尻に、致死性はないが一時的に吐き気を誘発し、気分を悪くさせる化学物質(塩化リチウム)を注入しました。
そして研究チームは、この「ゲロマズ」カエルを散布し、オーストラリアワニたちがどうなるかを観察しました。
その結果、オーストラリアワニたちは加工されたカエルを食べ、オオヒキガエルが自分にとって不快な存在であることを学びました。
生きた有毒のオオヒキガエルを食べることがなくなったのです。