その結果、ほとんどの製品では、ゴキブリの体に直接塗布する方法で、良好な結果を示しました。
つまり、直接ゴキブリにスプレーするタイプの殺虫剤であれば、基本的にゴキブリを退治できると分かります。
一方で、ゴキブリの通り道に塗布する方法では、良好な効果は得られませんでした。
例えば、殺虫剤をスプレーした表面(床)に30分間さらされたチャバネゴキブリは、そのうちの20%未満しか死に至りませんでした。
またその環境に閉じ込め続け、死ぬまでにどれくらいの時間がかかるか調べた実験では、多くの製品で、ゴキブリが死ぬまで8~24時間かかりました。
中には、ゴキブリが死ぬまで5日間以上かかる製品もあったようです。
当然ながら、実際の状況では、ピレスロイド系の殺虫剤が塗布された床にゴキブリが何時間もとどまることなどありえません。
つまり、床や壁に塗布するタイプの殺虫剤では、ほとんどのチャバネゴキブリを殺すことができないと考えた方が良いでしょう。
また今回の研究では、床の種類によっても殺虫剤の効果が異なることが分かっており、建築材料として一般的な「石膏ボード」では、セラミックタイルやステンレス鋼に比べて、殺虫剤の効果がかなり落ちると判明しました。
では、どうしてこれらピレスロイド系の殺虫剤で、ゴキブリへの効果が薄まっているのでしょうか。
繁殖力の高さと世代交代の早さがゴキブリの耐性を高めている
チャバネゴキブリがピレスロイドへの耐性を強めてきた理由は、繁殖力の高さや世代交代の早さにあると考えられます。
ピレスロイドは昔からゴキブリたちに対して高い効果を発揮してきました。
しかし、それらゴキブリの中には、少数ながらピレスロイドに抵抗力をもつ個体も存在していました。