【外食業界のリアル・12】 コロナによって外食業界は変わったといわれることが多いが、正確には現在進行形で変わり続けざるを得なくなったという表現の方が適切だと思う。今回はあくまでベンダー目線ではあるが、外食業界がコロナ禍で何が起き、どのように変わってきたのか、そして今はどうなっているのかを語りたいと思う。
コロナの始まり
世界を賑わせていたコロナだが、最初はすぐに鎮静化されるという読みはあった。ところが、現実はそううまくはいかず世界的なパンデミックとなり、2020年4月7日には「緊急事態宣言」が発せられた。コロナ自体についての詳細は他に委ねるが、その後にさまざまな規制や自粛などが課せられることとなり、外食業界は「飲食店の来店予約が制限されることとなって、これまでと同様の営業ができなくなった」のである。
多くは来店客によって成り立っており、飲食店の売り上げは一気に落ちた。そのため、店舗外での需要を喚起しようとテイクアウトやデリバリーが拡大した。その後、飲食店の経営が立ち行かなくなるケースも増え始め、コロナ給付金が始まった。それによって規模の小さい店舗は守られることとなったが、キャパの広い大型の店舗は固定費も高く、給付金だけではとても維持できるわけではなかった。
またコロナ禍での店舗運営では厳しいルールが課せられ、人との非接触が推奨され、テーブルなどに仕切りが設けられるとともにモバイルオーダーの導入が増えた。一方、飲食店で働いていた従業員は店が休業を続けることで収入が減ってしまったほか、先行きの不安などによって、他の業界へと人材が流れてしまった。
外食業界は、コロナによって奇しくも食べるというスタイルが多様化したといえる。従来は飲食店に訪れて食べるということが普通だったが、テイクアウトやデリバリーを利用して家で食べたり、スーパーや専門店で総菜を買ったりといった選択肢が増えた。もちろんコロナ前からテイクアウト・デリバリーは存在していたが、需要は限定的であったともいえる。飲食店の競合が飲食店だけではなくなったのである。
そして、従来と同じやり方をしていては生き残れないという状況下で外食業界のDX化が推し進められることとなったわけである。