いつの間にか中国の制作会社が急成長
国内のアニメ制作現場について「すでに崩壊している」と語るNAFCA。国内の現状は悲惨さを極めているというが、対して存在感を増しているのが海外のアニメ制作会社だ。冒頭のXのポストでも、「今は下手すると(下手しなくても)中国とかのグロス会社の方が元請けよりもまともに回せるレベルになってる」という指摘がされていた。中国のアニメ業界の成長は著しく、日本国内最高峰の作品に匹敵するクオリティの作品を出すこともしばしばだという。
「海外のスタジオもピンキリではあるものの、本当に技術力のあるスタジオは日本のクオリティの高いスタジオと大差ないレベルにまで到達しています。加えて、海外のアニメーターは、アニメにかける情熱が日本のアニメーターよりも数段上という印象があります。NAFCAでは、アニメーター向けにアニメーションの基礎知識、技術をまとめた『アニメータースキル検定』を今年から実施予定ですが、問い合わせは海外の方々のほうが多いほどです。
アニメーターの新人育成の入り口であった動画というセクションを長年海外に外注し続けた結果、国内での育成は空洞化し、他国でアニメ制作のノウハウが培われ、その国独自のアニメ産業が発展する土壌が出来上がっています。今の日本のアニメ業界は、海外の熱量とマンパワーに押され、かつての勢いを失いつつあるのです」(同)
最後にNAFCAは、国内のアニメ業界の問題点についてこう指摘する。
「かつてのアニメ業界は、契約書なしに同業者内で原画を発注・受注し合うという村社会的な暗黙のルールで動いてきました。それでも昔は、お互いが顔見知りのような狭い業界で、制作本数が多くなかったこともあり業界は回っていましたが、今のように業界全体で制作本数が増え、SNSで素性もわからないような人に発注することが増えてくると、守秘義務契約書すらもないのは時代遅れもはなはだしいです。先日もとある制作会社がSNSで中学生に原画を発注したと大騒ぎになっていましたが、常識を疑います。
今後のアニメ制作会社は、コンプライアンスを遵守した上で、50、60代のアニメーターや演出のベテランをうまく活用して育成に本腰をいれないと、受注した作品を作り上げることすらできなくなっていくでしょう」(同)
日本は世界的に見てもアニメ業界のトップランナーだったが、そう遠くない将来、その地位が揺らいでしまうのかもしれない。
(取材・文=文月/A4studio、協力=日本アニメフィルム文化連盟(NAFCA))
提供元・Business Journal
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