倉庫アルバイトは一生続ける仕事としてはなかなか難しい

 過酷な環境でどれだけ懸命に働いても、基本的には賃金はほとんど変わらないそうだ。

「アマゾン創業者で元CEOのジェフ・ベゾスが稼ぐ富の資産を見ることができるサイト『Bezos’ Calculator』によると、同社従業員のうち最も給料が安い人の年収である3万1200ドルを、ベゾス氏はたったの8秒で稼いでいるとのことです。こうした圧倒的な不公平さも世界的に問題になっており、アメリカやイギリスをはじめ各地でアマゾン労働者たちの抗議デモが行われています。日本では京都府京田辺市の労働組合が申し入れをして、アマゾンが倉庫バイトの時給を1200円に上げたという事例がありますが、私の知る限りそういった事例はこの1件のみ。海外に比べても日本の非正規雇用の時給はかなり低いのですが、労働運動が低調なため低賃金の現状は改善されていない状況にあります。

 アマゾンの倉庫アルバイトはフルタイムで働いても、月給20万円台前半ほどにしかなりません。賃金が低いのにもかかわらず、過剰な生産性を要求される環境に嫌気がさしたり、体調を崩して離職したりする人が多いため、常に人手不足に陥っていると考えられます。類似の業種を調査してきた経験からの推測ですが、おそらく一人あたりの働く期間はとても短く、1週間で半分くらいの人は辞めてしまうだろうと思われます」(同)

 また、今野氏によると「アマゾン倉庫のアルバイトは、かなり特殊なやり方をしている」という。

「特殊な要素でいうと、基本的にアルバイトスタッフ同士の共同作業はありません。そのためコミュニケーションを取りたくないという方や、黙々と作業をこなすことが好きな方には比較的に向いている仕事だというのは真実の部分もあると思います。あとはやはり肉体労働でもあるので体力に自信のある方は向いているかもしれません。ですが、身体を壊してしまって長期間働けなくなってしまったり、将来を展望できるように賃金が上がっていくわけではなかったりするので、あくまで短期間で働く手段のひとつとして考えたほうがいいと思います。

 倉庫アルバイトの仕事はキャリア形成につながらず、若い人は使い潰されてしまうのでやるべき仕事ではないと以前からいわれています。スキルを磨ける仕事に就いたほうがいいというのは、概ね正しいと考えています。ただ一方で、その人の生活状況や環境、さらに資格習得やスキルを磨くために、お金を稼いで今のうちに貯金したいという目的を持った人が倉庫アルバイトとして働くケースもあるでしょう。そのため一概に避けたほうがいいアルバイトとはいいがたいのですが、やはり一生の仕事としてはなかなか難しいというのが現実だと思います」(同)

――いまや現代の人々の生活を支えるインフラになりつつあるアマゾンだが、その倉庫でのアルバイトは長く続けるのは難しい過酷な労働環境のようだ。

提供元・Business Journal

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