デバイスで徹底管理された労働環境
NPO法人POSSE代表で雇用・労働政策研究者の今野晴貴氏はいう。
「アマゾンの倉庫の場合、労働環境は決して楽とはいえないでしょう。倉庫の棚入れ業務では8秒に1つ、1時間で合計400個の商品を箱に詰めなければならないなどの過酷なノルマを課され、達成度は秒単位で手元のデバイスに記録されます。トイレ休憩にどのくらいの時間かかっているかなども記録され、労働者は自分のペースと関係なく非常に緊張感のある環境下で働くことを余儀なくされています。
労働組合に入り団体交渉をしているアルバイト経験者の話によると、毎日昼の休憩後に午前中の自分のノルマ達成度合いが書かれた紙を持ってこられ、ノルマに達していない日が続くと改善を要求されるそうです。あまりにもノルマ未達成が続くとトレーナーがずっと横につき、動作について逐一指摘されるという『トレーニング期間』が開始されるといいます。
また、かなりの重労働のため、腰痛などを患う懸念に常にさらされているともいえます。ほかにも、アマゾンには倉庫に入荷してきた箱詰めの商品を倉庫内に搬入する作業や、バンに積むために搬出する作業がありますが、これは半屋外で行われます。その部署に配属されると空調が十分に効かない場所で作業することになるので、夏は熱中症のリスクが高いでしょう」
アマゾン倉庫で働いているアルバイトはどのような人が多いのだろうか。
「20代から60代まで年齢層は幅広いです。いわゆるフリーターの方もいれば、就職できなかった方や失業してしまった方、高齢者で他で働き先が見つからない方などさまざまな人が働いています。アマゾンに限らず倉庫バイト全般や、工場の単純作業、運送系の仕事とも共通しているのですが、恒常的な人手不足のためスキルがなくてもすぐに働き始められる仕事という側面が大きいのです。これら同種のアルバイトに比べると数十円時給が高いことが、アマゾン倉庫のアルバイトを選ぶ理由になっているのだとも考えられます」(同)