■専門家「HAARPは軍事兵器として使用されている」

 1996年、アメリカの科学者で気候変動活動家のロザリー・バーテルは、HAARPが軍事兵器として使用されていると人々に警告し始めた。

 この頃、陰謀論者のニック・ベギッチ・ジュニア(元米国下院議員ニック・ベギッチの息子で、元米国上院議員マーク・ベギッチと元アラスカ州上院議員トム・ベギッチの兄弟)が『Angels Don’t Play This HAARP(天使はこのHAARPをプレイしない)』を執筆した。

 その中で同氏は、HAARPを使用すれば地震を引き起こしたり、大気を巨大な虫眼鏡に変えることができると主張し、最近ではHAARPがマインドコントロールに利用されていると主張した。

 バーテルとベギッチの主張は、ベルギーの国会議員マグダ・エボレットの注目を集めた。 彼女はHAARPの潜在的な軍事利用は世界的な懸念であり、欧州議会が介入してその法的、倫理的、環境への影響を調査する必要があると述べた報告書を作成したのだ。

 これによりますます突飛な“陰謀論”の扉が開かれた。ロシアの軍事雑誌はHAARPが「地球の磁極を反転させる可能性のある電子のカスケードを引き起こす」という考えを広めた。

 元ミネソタ州知事でドキュメンタリー制作者のジェシー・ヴェンチュア氏は、政府がこのテクノロジーを利用して天候を操作し、マインドコントロール電波を人々に照射している可能性があると示唆した。 時間が経つにつれて、その主張はますます突飛なものになっていった。

 一部の科学者もこの“陰謀論”に加担した。物理学者のバーナード・イーストランドは、HAARPが彼の特許に基づく技術を利用していると確信しており、それは天候を制御するだけでなく、衛星を破壊することさえできる可能性があると言及している。

 そして長年にわたり一部からは複数の災害がHAARPのせいだとされてきた。大規模な雷雨から大規模停電、さらにはトランス・ワールド航空800便墜落事故に至るまで、すべてはこの施設の仕業だと考えられているのだ。

 湾岸戦争症候群(Gulf War Syndrome)や慢性疲労症候群がHAARPによって引き起こされると信じている者さえおり、つい最近では2023年にトルコとシリアで起きた数万人の命が失われた悲劇的な地震はHAARPが原因だと一部では言われている。

気象兵器か、地震兵器か、それともマインドコントロールか……陰謀論が渦巻く『HAARP』の謎
(画像=画像は「YouTube」より,『TOCANA』より 引用)