「トリノの聖骸布」の研究で著名なエマヌエラ・マリネリ教授は「有名なフェイクは1988年、放射性炭素年代測定が実施され、トリノの聖骸布がイエス時代のものではなく、中世時代のものと結論を出したニュースだ。リンネルの布を放射性炭素で年代測定することは難しい。保存剤に漬けられたリンネルを測定しても間違った年代を測量するだけだ。ロウソクや人々の手が触ったりしているから、聖骸布のような歴史的なリンネルの正確な年代測定には放射性炭素測定は向いていない」と強調している。
それにもかかわらず、科学的なコンセンサスとしては、1988年の放射性炭素年代測定の結果が最も信頼性が高いとされてきた。現時点で、聖骸布が中世の産物であるという見解が主流だ(「イエスの『聖骸布』の真偽論争再発か」2018年7月20日参考)。
ところで、イタリアの研究者がトリノの聖骸布をイエスの時代のものという年代測定を発表して話題を呼んでいる。24日のバチカンニュース(独語版)によると、イタリアの研究者たちは、トリノの大聖堂に保管されている布はイエスの時代に属するという研究結果を「Heritage」誌に発表し、英大衆紙「デイリー・メール」紙が報じた。
新しい研究は広角X線技術(WAXS)を用いて行われた。この技術はリンネルのセルロースの自然な劣化を測定し、布の製造時期を特定する。糸はイスラエルのリネン布と互換性があると得られた結果に基づき、研究者たちは、聖骸布がヨーロッパに渡る前に約13世紀の間、温度約23度、相対湿度55%で保管されていたことを明らかにした。また、使用された糸は、イスラエルで発見された1世紀のリネン布と互換性があるとも述べている。イタリアの研究家の測定結果はバチカンを喜ばせている。
ちなみに、「トリノの聖骸布」は西暦2000年の大聖年に初めて公開された後、10年5月に再び一般公開された。当時のローマ教皇べネディクト16世はトリノに足を運び、観賞し、その前で祈っている。その後、15年にも一般公開された。世界から数百万人の信者たちがイエスの遺体を包んだ布を一目見ようとトリノ市に足を運んだ。