ビジネス
2024/09/03
胸に貼り付けて発作の兆候を検出|呼吸器疾患に特化した「スマート聴診器」開発のAevice Healthが資金調達、日本からも出資
患者と医療従事者の双方にメリット、治療アクセシビリティ改善
デバイスで取得したデータはアプリ上に記録・保存され、AeviceMDの情報共有システムを導入する医師にも送信される。患者情報はプラットフォーム上で常に一括管理が可能であるため、医師は後から音声を再生・確認したり、以前のデータとの比較も可能だ。これらのデータに基づく正確な臨床決定で、緊急性が高まる前に迅速な判断をくだすことができる。
患者と医師の双方が録音記録や投薬履歴を共有することで、治療に関するスケジュールを立てやすくなるなどのメリットもあるかもしれない。患者側は通院にかかる時間と労力が省けるだけでなく、発作の兆候を事前に予測できるようになることで、苦しい状態で待合室で長時間待つことも避けられ、さらに緊急度の高い救急診療が減ることにつながれば、病院の業務軽減にもなる。日本でも人手不足などにより救急外来の維持が難しくなっているが、AeviceMDのような遠隔診療が普及することで、患者と医療施設側双方の負担軽減が期待される。
名門理工大のスピンオフとして誕生、CEOは小児喘息当事者
Aevice Healthは、シンガポールの国立名門工科大であるナンヤン理工大学(NTU)のスピンオフとして誕生した医療テック。創設者にして2018年からCEOを務めるAdrian Ang氏は同大学で学士および理学修士号を取得した人物だ。
グローバルに起業家を育成する「テクノプレナーシップ&イノベーションプログラム」の出身者だ。NTUの同プログラムはベンチャー創出サイクルを模したもので、参加候補生は起業家スピリットの考え方や基礎的なビジネス知識を習得できる。
Adrian Ang氏自身が小児喘息の当事者であり、喘息患者特有の悩みを身をもって体験した。両親にこれ以上心配をかけたくないという思いが原動力となって起業につながったという。日本企業からの投資は2度目、日本での商品化進む
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