とりわけ、「新技術、宇宙、防衛、民生原子力、高等教育、文化など、あらゆる分野で交流を強化するとともに、国際危機ならびに気候変動との闘いや生物多様性の保全をはじめとする地球規模課題に緊密に連携して取り組むことを目的とします。フランスはサプライチェーンの安全性という共通の課題に対応するため、日仏企業間の連携を加速させる」といいます。
確認しますが、すでに動いている「日仏企業間の連携を加速させる」そうなのです。フランスの多国籍企業ヴァオリア・エンバイロメントの水処理事業部門ヴァオリア・ウォーターは66の国で水事業を展開しています。2002年に日本法人を設立し、日本政府への働きかけが功を奏し、規制緩和会議に社員を送ることに成功します。
2018年12月に水道法が改正されました。表向きは、「水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道の直面する課題に対応し、水道の基盤強化を図る」とありますが、水道運営権を企業が買えるようになりました。
非常時や大規模災害が発生したときは「自治体の責任」となります。同年の西日本豪雨では風呂に入れず、トイレを流せず、水も飲めません。水なしでは生きられないと多くの国民が泣きを見ましたが、この場合、企業に一切の責任はないのです。海外企業がわたしたちの生活と直結している水道を管理することが懸念されています。
民間企業の出番に異を唱えるものではありません。ただ、ヴァオリア・エンバイロメントは2016年にアメリカの放射性廃棄物処理会社「キュリオン(kurion)」を買収し、日本の子会社が福島第一で技術的に関与しています。
水でも放射性廃棄物でもそうですが、海外企業が日夜管理運営するものを、緊急時に遅滞なく国や自治体の責任で稼働させるにはコミュニケーション・ギャップは許されません。ヴァオリア・エンバイロメントは2021年に同業2位だった「スエズ」を買収し、世界最大の水処理・核廃棄物ビジネス企業となりました。