チームはパイク戦法が古代から使われていたことを確かめるべく、歴史学や民族誌の文献を広く調査。
その結果、パイク戦法は数千年前から実践されており、古くは古代ギリシャの歴史家クセノフォンが「大きなイノシシを狩るためにパイクを使っていた人々がいる」ことを書き残しています。
文字媒体として残っているものでも、2000年以上前にはすでにパイク戦法が使われていたわけですから、もっと以前から狩りの手法として実践されていておかしくありません。
高度な技術力は必要ありませんし、むしろ槍投げを修得するよりも労力は少なく済みます。
そこでチームは最後に、クローヴィス文化の槍でパイク戦法が実践できたかを探るべく、簡単な実験を行いました。
獲物の体内で槍先が折れて「大ダメージ」を与えた可能性
チームはクローヴィス・ポイントを使用した当時の槍のレプリカを作成し、大型動物が突進してきた際の模擬的な力を加えて、槍先にどんな変化が起きるかを検証。
実験では、槍先を地面に静止させた状態で、11.34キロの錘(おもり)を35cm上から自由落下させました。
(実際の使い方は槍のお尻の方を地面に固定して、槍先を程よい角度で獲物の方に向けていた)
ハイスピードカメラで槍先を撮影した結果、クローヴィス・ポイントは獲物の皮膚を貫通し、中で折れて体内に残る可能性が高いことが示されました。
研究者によると、これは「ホローポイント弾の機能に似ている」といいます。
ホローポイント弾とは、中央が空洞(ホロー)になっており、先端(ポイント)が平たくなった銃の弾丸のことです。
これが対象に着弾すると、弾頭が開くように広がることで、弾は貫通せず対象の体内を動き回り内臓を損傷させるという殺傷能力の高さが知られています。