皆さんも歴史の教科書や再現VTRなどで、そうした槍投げの姿を散々見せられてきたはずです。
しかし研究者らの冷静な見解によると、「人間にはマンモスの分厚い皮を貫くほど十分な速度と勢いで、槍を投げる肩の力がないので、これは極めて非現実的な戦略だったでしょう」と話します。
確実に大型動物を仕留めるには、まったく別の手法に頼らなければなりません。
そこで研究チームが最も可能性の高い戦略として主張するのが「パイク(pike)」です。
パイクは「ハリネズミ戦法」に似ている?
「パイク」という用語は歴史的に見ると、15〜17世紀にかけて、歩兵用の武器として対騎兵・対歩兵に使われた槍の一種のことです。
パイクは一般的に4〜7メートルもの長さがあり、歩兵たちはパイクを持ったまま隙間なく密集あるいは横隊を組んで、相手が突っ込んでくるのを待ち構えて槍先を敵兵に突き刺しました。
いわゆる”ハリネズミ戦法”のようなもので、自ら積極的に槍を投げたり振り回すのではなく、ジッと固定した状態で相手の突進力を利用したのです。
パイクは相手が突進してくるのを待ち構えるので狙いを外す心配が少ないですし、自分から槍を投げたり、刺しに行くよりも強い力が加わります。
特にパイク戦法は大型動物に有用だったでしょう。
研究主任の一人であるジュン・ウエノ・スンセリ(Jun Ueno Sunseri)氏は「突進してくる動物が生み出すエネルギーは、人間の腕で生み出すエネルギーとは比べ物になりません」と話しています。
これを踏まえてチームは次のような新説を提唱しました。
「クローヴィス文化の狩人たちは槍を地面に固定した状態で保持し、突進してくる動物に突き刺したのではないか」