原始時代のマンモス狩りは大抵、狩人が槍を投げる姿で描かれています。
しかし最新研究によると、古代の狩人たちは槍を「投げた」のではなく、「植えた」のかもしれません。
米カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)の考古学研究で、約1万3000年前の北米の狩人たちは、槍を地面に固定した状態で保持し、大型動物たちの突進力を利用して、先端の石器を突き刺していた可能性が見出されたのです。
こうした槍の使い方は「パイク(pike)」と呼ばれており、歴史的に古くから世界各地で実践されていました。
実はパイクを最初に実践したのは1万年以上前の北米人だったのかもしれません。
研究の詳細は2024年8月21日付で科学雑誌『PLOS ONE』に掲載されています。
目次
- 槍を投げてもマンモスには刺さらない?
- パイクは「ハリネズミ戦法」に似ている?
- 獲物の体内で槍先が折れて「大ダメージ」を与えた可能性
槍を投げてもマンモスには刺さらない?
今から約1万3000年前に北米を中心に栄えた文化を「クローヴィス文化」と呼びます。
その時代の遺跡からは先端が鋭く研磨された独特な石器が何千個も発掘されてきました。
「クローヴィス・ポイント(Clovis point)」です。
クローヴィス・ポイントは大人の親指サイズからiPhone大のサイズまであり、先端はカミソリのように鋭く尖っており、底部には長方形の窪みが見られます。
この窪みに骨か木の棒が取り付けられていました。
中にはマンモスの骨格の中から見つかるケースもあり、当時の狩人たちがクローヴィス・ポイントを使って大型動物を狩猟していたことは間違いありません。
ただ問題は「クローヴィス・ポイントをどのように使って大型動物を倒していたのか」ということです。
昔からよく言われているのは、腕の立つ狩人たちが槍を投げてマンモスに突き刺していたというものでしょう。