この材料中で光は一体どうなっているのでしょうか?
光はこのとき、どの様な状態だと解釈すればいいのでしょうか?
運動量が0に確定した光子の存在確率は無限に広がる
量子の世界は不確定性原理と呼ばれる奇妙な原理によって支配されています。
量子の世界では物体は確率的にしか存在できず、位置か運動量のどちらかしか正確に知ることができません。
また不確定性原理においては、位置か運動量のどちらかを詳しく知れば知ろうとするほど、もう一方が不確定になっていくことが示されています。
不確定性原理は子供向けの科学書には、観測手段の技術的な問題であるかのように表記されることがありますが、実際には量子が持つ位置が定まらない「波としての性質」によって決まります。
そのため光の運動量が0だとほぼ100%確定している状況では、光の存在位置は許される限り無限に広がっていくと予測されました。
研究者たちが実際に運動量が0になった光を調べたところ、光の位置が材料内部で全く不明になっていることが判明します(これは不確定性原理が単なる観測技術の問題でないことも示します)
光の波としての性質は、光の存在確率の強弱であると言う風に説明されます。
運動量が0となり、波長が無限大になった光は、存在確率の波が消え去り、材料中のどこにでも一様に存在しうる状態となっていたのです。
そのため、二重スリット実験の干渉縞が消えてしまったわけです。
研究者たちは、この材料を用いれば、物体を光(電磁波)による観測から完全に隠すことが可能になると述べています。