屈折とは、光が物質中を通過する際、真空中より速度が落ちることで進行方向が曲がる現象です。
この真空中より光の速度が落ちる割合を示したものが屈折率です。
メタマテリアルでは、この屈折率を操作する技術が進化を続けていて、負の屈折率を持つ材料というものも実現しています。
負の屈折率とは、入射角と反対方向に光が折れ曲がってしまう状態です。
しかし、マイナス方向の屈折率を持つ材料の作成には成功していても、0の屈折率という材料はまだ存在していません。
ではこの屈折率がほとんど0に近づいたとき、光はどのような振る舞いをするのでしょうか?
研究者たちが屈折率0の物質中にある光の状態を計算したところ、光はヤングの二重スリット実験を行った場合にも光の波の性質を特徴づける「干渉縞(しま模様)」を作らなくなることが示されました。
二重スリット実験では通常、光子などが1個ずつ発射され、二重スリットのどちらかを通過して、向こうの光に反応する壁にあたります。
光は粒子としての性質と波としての性質をあわせ持つため、向こうの壁には波同士が相互作用した証となる「しま模様」が形成されます。
しかし運動量が0になった光は、波長が無限大となり、波の山も谷も消えてしまったのです。
これらの結果は運動量が0になった光は量子的な性質のいくつかが抑制されていることを示します。