クロシビカマス属は1属1種ですが、このクロシビカマスによく似たものに「カゴカマス」(学名 Rexea prometheoides)というのがいます。
カゴカマス幼魚(撮影:椎名まさと)
この2種を見分けるのには側線を見ての見分けが容易です。
カゴカマスの側線(撮影:椎名まさと)
クロシビカマスでは体側中央に1本の側線が入るのみであるのに対し、カゴカマスでは背鰭下方を走る側線(写真の赤い矢印)があり、そこから側線が分岐、分岐した側線は体側中央を走ります(写真の黄色い矢印)。
なおカゴカマスも腹鰭は退化的です。
ロシビカマスの腹鰭は非常に小さく痕跡的(撮影:椎名まさと)
このほかナガタチカマスという魚もクロシビカマスによく似ているのですが、ナガタチカマスは小さいものの明瞭な腹鰭を持っているため、クロシビカマスとは容易に見分けることができます。
ナガタチカマスの腹鰭は1棘5軟条(撮影:椎名まさと)
また体形もナガタチカマスのほうがクロシビカマスと比べると細長いです。
なお、ナガタチカマスも側線は2つ走っています。1本は背鰭のすぐ下あたり、2本目は体側中央付近を走ります。
深海魚釣りとクロシビカマス
深海の釣りではクロシビカマスはよく釣れる魚です。
しかし非常に鋭く強い歯を持っているため、取り扱い注意なのはもちろんのこと、鋭い歯によって仕掛けが切られてしまうことがあります。
そのため「なわきり」と呼ばれることもあり、釣り人からはあまり歓迎されません。深海釣りですと、防波堤からの釣りと比べると、仕掛けも高額になる傾向がありますので……。
相模湾の深海魚釣り(撮影:椎名まさと)
ですが非常に美味しい魚ですので、仕掛けが切られず釣りあげることができれば嬉しい魚です。
成魚は主に水深300m以深の場所に生息していますが、幼魚は比較的浅いところでも見られ、定置網などで漁獲されることがあります。