日本でも、ニュートリスコアに相当する仕組みの導入が本格的に検討されていて、今年7月には消費者庁で「日本版包装前面栄養表示に関する検討会」が初めて開かれました。

ただし、個々の消費者の健康状態や栄養ニーズは異なるため、ニュートリスコアのような仕組みがあったとしても、それで全てが解決というわけではありません。

極端な例ですが、肥満の人にとってはハイカロリーの商品が健康にマイナス要素となりますが、痩せている人にとっては同じ商品が栄養状態を改善するためにプラスに働くこともあります。

したがって、ニュートリスコアのような情報を参考にしつつも、最終的には消費者自身が自らに合った商品を選ぶための判断力を養うことも大切でしょう。

皮肉で締めた映画

『スーパーサイズ・ミー2:ホーリーチキン!』の終盤において、スパーロック氏は、ファストフード業界が健康ハロー効果をいかに巧妙に利用しているかを自らの店を使って実証しました。

この店では、デザインやメニューの表現において、緑色や自然を連想させるビジュアル、そして「フレッシュ」「ナチュラル」「ホルモンフリー」といった健康的に見えるキーワードが多用されています。

しかし、これらは単なる見せかけで、提供されるメニューの本質が健康的でないことが来店客には明確に伝わるように描かれています。

自然豊かで緑色で囲まれた店内で食べたとしても、商品が一緒であればカロリーや栄養素は変わらない
自然豊かで緑色で囲まれた店内で食べたとしても、商品が一緒であればカロリーや栄養素は変わらない / Credit: 写真AC

つまり、消費者が「健康」に見せかけた広告やマーケティングに騙されている現状を皮肉たっぷりに描き出すことで、視聴者に対して表面的な健康イメージに騙されないよう注意を促すメッセージ性を感じられる作品となっているのです。

ちなみに、この映画はプレミア上映後にスパーロック氏自身の過去の過ち(性的不品行、ハラスメント)が明らかになり、劇場公開は2年後の2019年まで実現しませんでした。