なお、IAEAによると、クルスク原発には、異なるタイプの原子炉が6基、RBMK-1000型が4基、VVER-510型が2基だ。RBMK-1000型のうち2基は運転停止中で、残り2基は完全に稼働している。VVER-510型の2基は現在建設中だ。

ところで、ウクライナには、4つの原子力発電所があり、合計で15基の原子炉が稼働している。サポリージャ原子力発電所は欧州最大の原発で6基の原子炉(VVER-1000型)だ。そのほか、リウネ原発(原子炉4基、VVER-440型が2基、VVER-1000型が2基)、南ウクライナ原発(原子炉3基、VVER-1000型)、フメリニツキー原発(原子炉2基、VVER-1000型)。原発はウクライナ全体の電力供給の約50%を担っている。

ここにきてロシア軍が占拠しているサポリージャ原発周辺でドローン攻撃による状況の悪化が報じられてきた。IAEAの今月17日の「ウクライナ報告」によると、サポリージャ原発(ZNPP)の原子力安全状況は、無人機による攻撃で発電所敷地の周囲の道路が被弾したことを受けて悪化している。グロッシ事務局長によると、「IAEAのサポリージャ支援・援助ミッション(ISAMZ)チームは、無人機が運んだ爆発物が発電所の保護区域のすぐ外で爆発したとZNPPから報告を受け取った」という。爆発地点は、重要な冷却水スプリンクラー池の近くで、発電所に電力を供給する唯一の残存750キロボルト(KV)送電線であるドニプロフスカ送電線から約100メートルの場所だったという。人的被害はなく、発電所の設備にも影響はなかった。

ISAMZチームは「発電所周辺を含む地域での軍事活動が過去一週間にわたり非常に激しい。頻繁に爆発音や重機関銃、小銃の発砲音、砲撃が聞こえる」と報告している。また、フメリニツキー、リウネ、南ウクライナの原子力発電所などに常駐しているIAEAチームからも、頻繁な空襲警報や無人機攻撃が報告されている。