エレクトロクロミックガラスは、簡単に遮光状態を変えられることが利点だが、Miruの製品は自動的に光の入り具合を調整するため、さらに手間が省けるのだ。加えて、一定の明るさを維持することで室内や車内を快適な温度に保つのに貢献するという。

Image Credit : Miru Smart Technologies

つまり過度な温度上昇などを防ぐことができ、空調などにかかるエネルギーの消費を抑えられ、ひいては二酸化炭素(CO2)の排出抑制にもつながるとしている。同社によると、建物のエネルギー効率を20%高めるという。また、電気自動車(EV)に採用した場合、空調にかかるエネルギーの消費を節約できるためにバッテリーの減りが抑えられ、航続距離が10%伸びるとしている。

ライセンス契約で製品ではなく“技術を提供”

Miruは、この最先端の技術をライセンス契約で建築や輸送などの分野の企業に提供することを想定している。どのガラス加工業者でも従来のプロセスで生産できるとのこと。製品の寿命は30年超を見込んでいる。

Miruはエレクトロクロミックガラスそのものではなく技術を提供するため、自社で生産することはないが、同社は北米と欧州にデモンストレーションのための工場を持っており、今後もう2か所追加する予定だ。

航空機や船舶、電車にも

Miruは昨年、米企業2社と業務提携を結んだ。1社はサンルームの大手Four Seasons Sunroomsで、Miruの技術を用いたエネルギー効率のいいガラスでのサンルームを共同で開発している。

Image Credit : Miru Smart Technologies

もう1社はドア用ガラスなどのサプライヤーのODLで、出入り口やパティオのドアのガラスの共同開発に取り組んでいる。ドアをエレクトロクロミックガラスにすることで光を取り込めるようになり、また室内から外の景色を楽しんだり、自然との一体感が出るようになるという想定だ。