例えば良きアメリカの時代、1950年代から60年代は男はベトナムなどの戦争に駆り出され、経済活動を担う国内労働力が圧倒的に不足、そのために女性の社会進出が一気に進んだという背景一つとってみても能動的に女性が「私たちがやらねばならない」という機運が作り上げた繁栄の社会だったのです。アメリカで黄色いスクールバスの運転手に女性が多いのは子供たちを送り迎えするバスの運転手がいないから私たちが運転しなくてはいけないという能動的行動からスタートしています。
現在北米で見られるのは男は現場で仕事、女は事務仕事やアカウント レップ(日本では定義的にあまり当てはまらない職種ですがクライアントとの関係業務を担当する人)という流れはこのあたりから生まれたのです。男女区別という話ではなく、業務が最大効率で機能するベストマッチなのです。
私が住むカナダ ブリティッシュ コロンビア州は長く中道左派、つまりバラマキが大好きな新民主党が政権を握っています。理由は移民が多いからです。ニューカマーにとって平等はありがたく、心地が良い、これは認めます。ですが、この街から世界どころかカナダ全土に発信する企業なんてなかなか生まれてこない、これもまた事実なのです。働く意欲とポピュリズムは二律背反とも言えるのです。
ところが選挙となれば中間層がボリュームゾーンですからそれこそ、2:6:2の法則を効率性だけでとらえれば上位2割と下位2割を無視し、中間層6割だけにフォーカスすれば論理的には勝利できることになります。一方のトランプ氏は奇妙な戦略ですが、上位2割と下位2割をフォーカスした4割のコアなファンと中間層のうち準下位および準上位あたりを取り込み5割近い支持率をとるという形に見えるのです。
そうすると当然ハリス氏が王道を行き、トランプ氏が邪道の政策になるのですが、「刺激」という点でハリス氏の政策に面白みが欠ける点は否めないかもしれません。トランプ氏のそれは唐辛子が効きすぎてヒリヒリする、だけど支持者に快感を与える、というのが私なりの表現です。