「心臓病はこれまで、高血圧や肥満、喫煙などを主な原因として考えてきました。
しかし、これらの要因だけで重大な心臓病の発生を完全に説明することはできません」
そのため、マルケス氏ら研究チームは、心臓発作・脳卒中・心不全などの発症と、それによる死亡を含む「主要心血管イベント(MACE)」が、主要な原因とされる問題以外に、どのような要因と関連するかを調べ直すことにしました。
これまでの研究では、便秘と高血圧の関連性が示されており、このことから心臓病と便秘も何らかの関連があるという考えがあります。
そこで今回、研究チームは、便秘がMACEの発生リスクを増加させるかもしれないと考え、この2つの関連性に焦点を絞って調べました。
便秘は心臓発作のリスクを高める
研究チームは、イギリスの長期大規模バイオバンク研究「UKバイオバンク」を用いて、40万8354人のデータの取得し、2万3814件の便秘の症例を特定しました。
またUKバイオバンクの情報には、個々の健康記録やライフスタイル、遺伝子情報などが含まれています。
そしてチームは、これらの情報を元に、便秘と主要心血管イベント(MACE)にどのような関連性があるのか分析しました。
その結果、便秘に悩む人は、そうでない人に比べて、MACE(心臓発作、脳卒中、心不全による入院など)を引き起こす可能性が2倍以上も高いと分かりました。
また、便秘と高血圧の両方を抱える患者は、高血圧のみの患者に比べて、心臓発作を引き起こすリスクが34%も高くなると分かりました。
この点についてマルケス氏は、「便秘が高血圧に関連する心血管疾患のリスクを増大させ、心臓発作や脳卒中が生じる確率をさらに高めるかもしれない」と述べています。
では、どうして便秘と心臓発作が関連しているのでしょうか。