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先日のホルダンモリさんの番組で呉座勇一氏とも議論したが、この山本とぴったり同じ感覚で日本社会の全体像を描いた学者は、意外にも網野善彦である。こちらのテーマも病気の前に、だいぶ掘り下げて文字にしている。

日本は遅れている、とか、逆に日本の伝統こそ神である、みたいに言う人ほど、自国のマイノリティが持つ豊かさを無視していることが多い。今後そうした人がなにか言ったら、「あんさんはあらゆる日本をご存じなんでっかぁ? 山本七平や網野善彦より、あんさんの方が日本に詳しいんでっかぁ?」とあしらって相手にしないことが、ダイバーシティとSDGsへの道だろう。

山本七平(1921-91)写真はPHP研究所より

P.S. 山本七平の日本論については、こちらもどうぞ。彼のように「のんびり考え、生きる」ことの大事さを、教えてくれる思想家も少なくなりました。

編集部より:この記事は與那覇潤氏のnote 2024年8月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は與那覇潤氏のnoteをご覧ください。