『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)。大ヒットとなった書籍の著者・三宅香帆さんに、インタビューの前編・中編では、働いていると本が読めなくなる原因などを聞きました。
最終回となる後編では、ChatGPTなど生成AIが発展していく時代の「働き方改革」と、三宅さんの新刊が指摘する「長時間労働がもたらした母娘問題」について語ってもらいました(全3回中3回目)。
【前編】働いていて本が読めないのは、あなたのせいじゃない 『花束みたいな恋をした』の麦くんたちに伝えたいこと
【中編】そもそも本って読まなくてはいけないの? 読めなくなった社会人はどうしたら良い?
ChatGPTは働き方改革に寄与する?
ーーーChatGPTが出始めたころは、人間の労働時間が減っていくんじゃないかという話が特にされていたと思うんですが、最近は、生成AIを使って、より仕事を効率化しようという流れに向かっていて、働く時間は結局減らないんじゃないかという気がします。
減らないと思います。みんなの精神性を変えないと絶対減らないんですよ。
働き方改革は、時間を制限するだけじゃ駄目なんです。働くことがかっこいいという理想像を変えないと、結局ChatGPTを活用しながら働こうということになっちゃうんだと思うんですよ。
ですから、「精神性を変えないと、やっぱり働き方改革は終わらない」と強く言いたいですね。
ーーー生成AIが出ようが出まいが関係なく、人の問題だということですね。
本当に人間の問題だと、とても思います。
長時間労働は家庭の“母娘問題”をもたらす?
―――話は変わりますが、三宅さんは、“娘と母の関係がなぜこじれやすいのか”を分析した『娘が母を殺すには(PLANETS)』という書籍と『なぜ働いてると本が読めなくなるのか』ではテーマが裏表になっていると自身のnoteで書いていました。その理由をお聞きしてもいいですか?