もしこの問題を解き明かすことができれば「雨の日のタイヤと道路」や「濡らした指とレジ袋」など、水を介して接触するあらゆる物体への理解が大きく変わることになるでしょう。
そこで今回アクロン大学の研究者たちは、水があるときに物体の間で何が起きているかを改めて調べることにしました。
表面を覆う水が接着力を増す現象が確認される
水が挟まっていると、物体の接着力はどのように変化するのか?
謎を解明すべく研究者たちは、ゴムのような柔軟な物質(PDMS:ポリジメチルシロキサン)と粗い表面を持つダイヤモンドを用意し、間に水を入れた時の接着力を測定しました。
既存の見解では「水が多いと接着が妨げられる」というものです。
たとえば、もし接着面の50%が水で覆われている場合、水は物体の接着力を大幅に損なうと予測されました。
しかし実験結果は意外なものになりました。
接着面の50%が水で覆われている場合、物体の接近時に発生する接着力は確かに低下しました。
水が存在することでダイヤモンドとゴムが接着状態になるのに余計な力がかかってしまったからです。
しかし接着後に引きはがすのに必要な力を測定したところ、予想よりも4倍強い力が必要であることが判明しました。
研究者たちは、粗いダイヤモンド表面とゴムのような柔軟な物質が水を介して接触すると、両方の間にナノメートルサイズの超小型の水の閉じ込めが起こることが原因であると述べています。
この現象を理解するには、プラスチック製の注射器の中に水を入れて押したり引っ張ったりする場合を考えるといいでしょう。