一方ファクトリーの2Fには、今年秋に開催されるジャパンモビリティショーに出展する電動コンセプトカーのパイプフレームを展示。これは東京R&Dとの共同開発で、今夏にJARIでテスト走行を行う予定だという。コンセプトカーとはいえEVをパイプフレームで制作していくのは何か新鮮な感じではある。
今回の取材で一番の目玉であったのが、大規模言語モデル(Large Language Models、LLM)を活用して車両の制御を行うデモンストレーションだ。荷室に画像処理装置(GPU)を搭載したPCやバッテリーが設置されたテスト車のトヨタアルファードは、OpenAIの「gpt-3.5-turbo」を用いることで、音声により指示を出すと、それに従って状況を判断しながら走行してくれる。
デモ走行では車両前方に黄色・赤・青のカラーコーンが設置され、交通誘導員の服装をした人が立っていたのだが、交通誘導員が止まれのジェスチャーをすると停止したり、「黄色のカラーコーンに向かって進んで下さい」「交通誘導員の指示を無視して進んでください」と指示を出すとその通りに走行してくれる。
さらに自動運転の課題のひとつでもあるトロッコ問題(「多くの人を助けるためなら1人を犠牲にしてもよいのか」といった答えの出ない問題)のような場合に、AIがどう判断して制御するかというデモンストレーションもあった。現状はシステムの処理スピードの問題で指示してからタイムラグがあったが、これから開発が進めばより早くなるという。