正社員でも不況が来れば失業というリスクがあるし、社長といっても会社から役員報酬を得る立場であるため、不況が来て苦しくなるのは社長というより会社である。そして会社が厳しいなら社長も社員も一緒に厳しくなるので、「社長だけ苦しくなる」というわけではないのだ。

少々極論ではあるが、ビジネスが少しあたれば数年間で一生分の蓄財ができてしまうことも珍しくない。作業着を着て汗をかいて働く第一次産業の社長はパッと見で失礼ながら「全然お金を持ってなさそう」という印象を受ける人も少なくないだろう。だが、その実年収は3000万、4000万円という人もザラだ。

自分の知る近所のれんこん農家は、過去最高で年間で1億円近くの売上を記録したことがあるといっていた。確かにオーナー社長の売上は安定していないが、労働期間の40年間かけて少しずつ蓄財するというより、「売れる数年間の内に一生分稼いでおく」という感覚の人が多いのではないだろうか。

さらに、オーナー社長は会社の経費で多くの支出をカバーできる。そのため、実際に使えるお金が非常に多い。例えば、車の購入や接待費用、家賃、旅行やセミナー参加費用など、ビジネスに関連費なら経費として計上できるため、個人のサラリーマンでは考えられないような贅沢ができる。

サラリーマンは税引き後の手残りから必要なものを買うが、オーナー社長は先に必要なものを買ってから税金を引かれるので、両者の立場の違いで使えるお金は全く違う。

2. 自由すぎる働き方

中小企業オーナーのもう一つの大きな魅力は、その「働き方の自由さ」にある。大手企業のサラリーマンや公務員は、決められた勤務時間や出社義務、さらには業務内容に縛られることが多く、自分の時間を自由に使うことが難しいことが多い。また、昨今はアメリカ大手IT企業を中心にリモートワークが次々と解除されている。だが中小企業オーナーは自分自身が会社のトップなので働き方で圧倒的な自由を享受することができる。