このように、半年から1年くらいは経営や営業などの勉強をする準備期間に充てるのが本来はちょうどよいといえます。知識的な武装をし、そして独立開業した人は比較的成功率は高いといえます。したがって、ひとつの成功パターンは「受験→合格→経営の勉強→プランニング→独立開業」という流れになります。

そして、できることならば会社に勤めながら週末起業的に仕事を始めてしまうのがベストです。週末起業とは、平日は会社に勤務しながら早朝や夜間、そして週末にフリーで仕事を行うことです。もちろん、フルタイムにこだわる必要もありません。週3回程度はアルバイトなどで収入を得ながら、徐々に仕事を増やしていくという方法も賢明な選択です。

私は「正しい努力をすれば、誰でも成功できる」と考えていますが、スキルやキャリアが人それぞれで異なりますし、時代背景も変わります。そういう意味では、正しい努力をしても、必ず開業直後から仕事が取れるわけではないのです。ですから、背水の陣で開業するよりは週末起業的に、あるいは週3回程度の仕事をしながら段階的に独立するのが賢いやり方だといえるでしょう。

ただし、士業の仕事は性質上役所が関係することが多い仕事です。つまり、平日の日中にある程度自由に動けなければなりません。そのため、土日祝日のみの活動ではどうしても活動内容に制約が出てしまいます。そうすると、次のような発想が必要になるのです。

士業の仕事にこだわり過ぎる必要はない

段階的に独立起業するにあたって、重要なのは士業の仕事を獲得し、経験を積むことそのものではありません。もっとも重要なのは「自分の手で営業し、仕事を取る」という感覚を身につけることです。前述の制約のとおり、フルタイムで勤務しながら土日祝日で士業をするのは難しいことから、この段階ではあえて士業の仕事にこだわる必要はありません。

人事に在籍していた方は、労務に関するセミナーを実践してもよいでしょう。営業職の経験がある場合は、営業のコンサルティングをやってみるのもよいかもしれません。