海外航空留学ルート

 国内の私立大学や一般航空事業会社と比べて割安にみえる海外航空留学ルートはどうなのか。

「海外航空留学を使うメリットは、日本と比べて安い訓練費、場所にもよりますが天候が良く訓練効率が良いこと、航空用語である英語に日々接しながら訓練できる点、日本と比べてパイロットになるための資格試験の難易度が比較的低い点です。一方、デメリットは、英語力が低いとハンディキャップとなること、渡航費用がかかること。現在のように円安になると滞在費が膨れること、海外で自分を律することが難しくなって挫折に陥りかねないことです。

 そして、もっとも注意すべきなのが、海外で資格を取得しても、日本の航空会社に就職するためには日本のJCAB(国交省航空局)のライセンスに書き換えねばならず、その費用が1000万円以上かかるともいわれるほど高額な点です。すなわち、ライセンス書き換えのためには学科試験と実地試験(一部免除)に合格する必要があり、日本の実地試験は海外に比べて難易度が高いといわれており、事前飛行訓練や座学に多額の費用がかかります。よって、日本の航空会社への就職を想定すると、日本の私立大学や一般航空事業会社を使うルートに比べて総費用が思ったほど安くならず、下手をすると却って高くなってしまう可能性すらあります。

 ただし、たとえばライセンス取得にかかる費用が低い海外の国でライセンスを取得し、フライトスクールで操縦教官として飛行実績を積んだ後に、そのままその国の航空会社に就職するのであれば、日本よりはるかに低い費用でエアライン・パイロットになれます。実際、アメリカやカナダの地域航空会社で副操縦士/機長として活躍している人達がいます。そして、海外の航空会社でパイロットとしてある程度の経験を積んだ後に、クルーリース会社経由で日本の航空会社に転職というかたちで採用される可能性もあり、その際の日本のライセンスへの書き換え費用は基本的に転職先の航空会社が負担してくれます」

 いずれにしても、国内航空会社のパイロットになるには「近道」はないといえる。

(文=Business Journal編集部、協力=橋本安男/航空経営研究所主席研究員、元桜美林大学客員教授)

提供元・Business Journal

【関連記事】
初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
地元住民も疑問…西八王子、本当に住みやすい街1位の謎 家賃も葛飾区と同程度
有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
現役東大生に聞いた「受験直前の過ごし方」…勉強法、体調管理、メンタル管理
積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?