また興味深いことに、ノイズ曝露によるプラスの効果はADHD患者にのみ見られ、健康な被験者がタスク遂行中にノイズ曝露された場合、わずかながらタスク遂行能力が落ちることがわかりました。
これはホワイトノイズやピンクノイズがADHD患者の認知機能を高めるのには効果的であるが、そうでない人にとっては単に気が散るものになっている可能性を示唆するものです。
ホワイトノイズを聞くと集中できる、雨の音があると落ち着く、という意見は昔からよく聞かれますが、一方でそうした意見がまったくピンとこないという人もいるでしょう。
今回の研究結果を見ると、こうしたノイズ音から感じる印象の違いは、ADHD傾向があるかどうかが関連しているのかもしれません。
チームは今後、新たなADHD治療法としてのノイズの可能性を深く理解するために、より大規模な集団を対象に厳密な臨床試験を行う必要があると考えています。
ある程度の効果が認められたからと言って、ノイズ音を長時間聞き続ける行為が健康に良いとは言えません。
そのためノイズを1日にどれくらいの頻度や時間、音量で聴けばよいのか、どのようなシチュエーションで聴くと効果が最大化できるのかなど、具体的な治療手順の確立が必要です。
それらが確かめられれば、ホワイトノイズやピンクノイズは誰でも手軽に聴けるものなので、コストや労力なく自宅で簡単に治療ができるようになるかもしれません。
研究主任のジョエル・ニッグ(Joel Nigg)氏は「今回の結果を臨床に反映させるには更なる研究が必要ですが、ここで得られたノイズ治療の効果は勇気付けられるものです」と話しています。
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参考文献
White and pink noise show promise in enhancing attention in those with ADHD
https://www.psypost.org/white-and-pink-noise-show-promise-in-enhancing-attention-in-those-with-adhd/