ADHD(注意欠如・多動症)は、不注意・多動性・衝動性を特徴とする発達障害の一つです。
多くは小児期や青年期に発症しますが、近年では成人後にADHDと診断される人も増えています。
そして最近、米オレゴン健康科学大学(OHSU)は、ADHDの新たな治療法として「ホワイトノイズ」と「ピンクノイズ」が有効である可能性を発見しました。
ADHD患者はこれらのノイズを聞くと、注意力や集中力が有意に改善され、タスク遂行能力が高まったとのことです。
研究の詳細は2024年2月27日付で心理学雑誌『Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry』に掲載されています。
目次
- ADHD治療に「ノイズ」が有効?
- ノイズを聴くことでADHDの認知機能が改善していた
ADHD治療に「ノイズ」が有効?
ADHDとは生まれ持った特性であるため、個性と見そうという意見もありますが、治療によって症状の一部を緩和させることが可能です。
こうした治療法は主に「薬物治療」と「行動療法・環境調整・心理療法」を組み合わせて行うのが一般的です。
ただ、薬物療法にはある程度副作用がありますし、通院にかかるコストや労力など、いくつか懸念される点もあります。
これを踏まえて、研究者たちは副作用の心配がなく、コストや労力のかからない、もっと簡単に実施できる別の治療方法がないかどうかを模索してきました。
その中で近年、専門家たちの間で関心が高まっているのがノイズ音です。
特定の種類のノイズ音が含む周波数には、脳の神経活動を調整し、情報処理を最適化する効果があると考えられています。
そのためノイズをADHDの改善に役立てようという考えはまったく新しいわけではありません。
特に以前から注目されていたのは「ホワイトノイズ」と「ピンクノイズ」です。