コンサルバブルの弊害

 こうした「リーダー割に合わない問題」が企業のシステムに関するノウハウ不足に拍車をかける事態を招いているという。

「ここ数年、企業のシステム部門の優秀な若手・中堅社員が外資系のコンサルティング会社やベンダ、プラットフォーム企業に誘われて転職するという動きが強まっていました。これらの外資系は元いた会社より数百万円高い年収を提示しており、誘われればそちらに行ってしまうのは、無理はないといえます。こうして人材流出により企業のITノウハウが空洞化し、人月単価に換算すれば自社社員より何倍も高いお金を払って外部のコンサル会社やベンダにPMをお願いするという皮肉な状況が生まれています」(中野氏)

 一方、コンサル会社・ベンダ側に起因するものには、どのようなものがあるのか。

「SAPの保守期限やベテラン社員の定年退職という要因からか、ここ数年、コンサル会社に持ち込まれるシステム開発案件の数が急増し“コンサルバブル”ともいえる現象が起きているとも言えます。コンサル会社はそれらをさばくために新卒や中途で積極的に人材採用を一昨年位までしていました。かつての基準だとジュニアコンサルタントくらいのスキルしかない人材が一人前のコンサルタントといった肩書で顧客の前に出て、高い料金でプロジェクトにアサインされるケースが増えていると聞きます。その結果、コンサルのノウハウ不足でプロジェクトがうまくいかないというケースも少なくないようです」(中野氏)