するとDDL‐920を投与されたアルツハイマー病マウスは記憶を思い出し、迷路攻略時間が健康なマウスと同じレベルにまで回復していることが明らかになりました。

この結果は、DDL‐920にはアルツハイマー病によって失われた記憶を回復させる効果があることを示しています。

アルツハイマー病患者が記憶を思い出せない理由には、記憶自体がニューロンとともに消失した場合と、記憶は残っているものの思い出せなくなっている場合があります。

コンピューターで例えるならば、前者はハードディスクそのものが壊れてしまった場合であり、後者はハードディスクは無事なもののUSBの差込口のようなデータを抽出する場所が壊れている状態だと言えます。

これまでの研究では、アルツハイマー病患者が特定のきっかけで記憶を思い出せることが示されており、多くのケースで記憶は残っているが想起できないだけである可能性が指摘されています。

DDL‐920の投与によって迷路の突破能力が回復したことは、アルツハイマー病マウスの脳内でも記憶が残っていたが、病気によって想起できなくなっていたことを示唆しています。

研究者たちは、同様の効果が人間でも再現されるならば、DDL‐920によってアルツハイマー病患者の記憶を回復できる可能性があると述べています。

DDL‐920を投与されたマウスたちでは目立った副作用がみられないことも示されており、近い将来、アルツハイマー病患者用の記憶回復薬が承認されるかもしれません。

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参考文献

DDL-920: Scientists discover compound that restores lost memories in Alzheimer’s model
https://www.psypost.org/ddl-920-scientists-discover-compound-that-restores-lost-memories-in-alzheimers-model/