土星の環は土星本体の年齢よりもずっと若いというものです。NASAの研究チームは、土星探査機カッシーニが収集した土星の環の観測画像から、土星の環が形成された時期を1億~2億年前と推測しました。これは地球上では恐竜たちが反映していた時代です。

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Credit: NASA/JPL/Space Science Institute

土星自体が誕生したのは、他の惑星と同じく今から約46億年前ですが、カッシーニの観測によると環がそこまで古いことはありえないというのです。

環がつくられた時には氷同士の衝突によって新しい表面が現れますが、時間が経つにつれて氷がチリに覆われてだんだん暗くなっていきます。そのため環が土星自体と同じぐらい古いなら今ほどの明るさを保っていることはないだろうと考えられるのです。

土星の環がなくなる?

土星のシンボルともいえる環ですが、周期的に見えなくなるという現象があります。

土星は約30年周期で太陽の周りを公転しています。土星の公転軌道面に対して環が少し傾いているため、地球と土星の位置関係によって環の見え方が変化します。

その結果、おおよそ15年周期で環を真横から見る時期が訪れ、環がほとんど見えなくなります。これは「環の消失現象」と呼ばれています。環が実際に消えるのではなく、位置関係によって見えなくなるのです。

ちなみに次に環の消失現象が起きるのは2025年です。

土星の環が見えなくなるのは残念ですが、このことから土星の環の秘密がうかがえます。真横からだと見えないということは、その幅に比べて厚みが非常に薄いということです。

土星の環の幅は、望遠鏡ではっきりと見えるA環だけで15万kmぐらいあり、かすかなものを含めると40万kmを超えます。それに対して、厚さはたった数百mしかありません。

土星本体を直径20cmのバレーボールに見立てると、環の幅は60cmを超えます。それに対して、厚さは5000分の1mmしかないことになります。このように超極薄なので、真横から見た時に環が見えなくなるのです。