小林製薬は、事業譲受した16年から紅麹販売に踏み切り、52社に原料として提供。18年には研究成果(紅麹菌の伝統発酵法における健康成分の変化)も発表している。

だが、現場の管理ノウハウまで継承できたのだろうか。

小林製薬の紅麹の培養期間は「50日」。通常の3倍以上の期間にわたる。培養期間が長くなるほど、温度管理・水分管理が難しくなり、汚染リスクも高まる。長い培養期間中に、なんらかの異物が混入したのではないか。そんな疑いが持たれている。

製薬会社か日用品メーカーか

「『あったらいいな』をカタチにする」という明快な企業スローガン。「アンメルツ ヨコヨコ」「ブルーレット ドボン」「メガネクリーナーふきふき」などユニークな商品名。

簡潔でわかりやすい。小林製薬の強みは広報だ。

だが、今回の紅麹問題で弱みが露呈した。品質管理である。

8月8日の会見で小林製薬前社長 小林章浩氏は以下のように述べている。

「ただ品質を求めながらも、利益を求めていた。そこは反省点だ」

品質と利益、どちらを重要視していたのか。食品の品質を管理できない企業が、薬の品質を管理できるのか。今後も製薬を企業名に冠する企業たりえるのか。それとも、「製薬メーカー」の皮を被った「日用品メーカー」となってしまうのか。品質をどこまで追求できるかにかかっている。

小林製薬 ウェブサイトより

【注釈】 ※1 消費者庁第2回「機能性表示食品をめぐる検討会 公益社団法人日本通信販売協会 2024年4月24日

【参考】 紅麹、コレステロール低下で注目 小林製薬16年から事業|日本経済新聞 小林製薬の紅麹、公表まで2か月…供給受ける食品・調味料メーカー「消費者にどう伝えれば」 : 読売新聞 小林製薬『紅麹』 通常の3倍以上の培養期間、製造設備老朽化 見えてきた”予期せぬ物質”発生の可能性|関西テレビニュース