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前回は、市が予算を使って行うすべての事業の「やる or やらない」の決定権限を市議会が握っていることとあわせ、市議会議員はなぜ複数人いるのか?という基本的な説明をしました。

(前回:地方議会の権力と腐敗①:地方議会の決定権とその威力)

今回は、市議会が握る権力の構造についてみていきましょう。

Q3. 市長が一人、議員が複数人いれば、健全な市政は実現できるのですか?

必ずしもそうではありません。

というより、私の経験や、私のもとに集まってきている情報を前提にすれば、日本のほとんどの地方自治体の議会は多かれ少なかれ機能不全を起こしていると考えられます。機能不全の形態は様々ですが、典型的な一例を紹介しましょう。

その議会では、「過半数議員団」が「常に同じ賛否」で固定され、かつ「なぜその議案に対して賛成(反対)するのか」の理由を十分に市民に説明しません。

また、議案に対する議論を深める最重要の審議体である「委員会」の動画を公開せず、自分たちの議会での振る舞いを極力秘匿しようと努めています。その結果、市民の「知る権利」は阻害され、権力は「過半数議員団」によって固定化されています。

行政は、権力が固定化された「過半数議員団」を懐柔するために、例えば当該議員団の中にいる議員の頼みを優先的に処理したり、当該議員団が書くべき議会内の原稿を「書いてさしあげ」たり、議案説明を「過半数議員団」へは詳細な資料とあわせ丁寧に報告する一方、「それ以外」の議員には間引いた情報しか提供しなかったり、「過半数議員団」が主催する飲み会に行政の役員が頻繁に参加し、お互いに忖度し合う関係性の醸成に務めたりします。

Q4. 先ほどから出てきた「過半数議員団」とはどんな集団ですか?

ここでいう過半数議員団とは、複数の会派や政党からなる「賛否を独占する議員の集団」を指しています。

つまり、佐倉市の場合、年間552億4,300万円の使い道を決定できる権力をもっている集団、と言い換えることもできます。