火山を形成する原因となるのは、プリュームと呼ばれるマントルの対流によるマグマの上昇流です。

プレートの動きがある地球では、プリュームに対してプレートが少しずつ動いています。そのため、プレートの動きに沿って、いくつもの小型の火山ができます。例えば太平洋プレートに乗っているハワイ火山(ハワイ諸島)は多くの小さな火山に分かれています。

それに対して、金星ではプレートの動きがなくマグマの供給は一か所に集中するので、一個の大型の火山が形成されやすいと推測されます。

パンケーキドーム

Venus pancake
Venus pancake / Credit:NASA/JPL

金星には、上で述べた大型火山以外にも特徴的な地形が見られます。例えばパンケーキドームやコロナといった円形の火山地形が見つかっています。

パンケーキドームは、上の画像のように円形のドーム状に盛り上がった地形です。地球の楯状火山に似ていますが、その10倍から100倍の大きさがあります。高さは1km以下で、山頂部が広く平らになっているのが特徴です。粘性の高い溶岩がマントルから押し上げられてできたと考えられています。

コロナはリング状に連なった山脈で、主に平原に存在しています。コロナは他の惑星には見当たらない金星特有の地形で、半径100~1000kmの地殻の盛り上がりとそのすぐ外側にある円環状の溝によって特徴づけられます。

コロナは通常の火山と同じようにプリュームのマグマが地殻を突き抜けて噴き出したものと考えられていますが、その形成プロセスの詳細はよくわかっていません。

金星に引っ越したら

金星は地球のご近所の惑星ですが、実際に行ってみたらどうなるでしょうか? 金星に人は住めるでしょうか?

金星の地表面は約460℃、気圧は約90気圧、さらに大気は硫酸という地獄のような世界なので、とても人間が生存できる環境ではありません。

金星に着陸するのはとても大変です。金星の軌道は火星よりも地球に近いですが、長い間地表の調査は行われませんでした。それは金星の環境があまりにも過酷だったからです。