「みどりを守る」ための資金も得ることは困難

 再開発をめぐっては事業者への風当たりも大きい。4日発売の「週刊新潮」(新潮社)は、東京都の幹部14人が三井不動産と三井不動産レジデンシャルに天下りしていたと報道。「新潮」によれば、22年に行われた東京都による神宮外苑再開発の入札で、選ばれた三井不動産のコンソーシアムの入札価格は約82億円だったのに対し、三菱地所のコンソーシアムのそれは358億円だったという。

 また、伊藤忠商事は23年10月に「ITOCHU SDGs STUDIO」内の子供向け施設を含む4カ所で、環境活動家による落書きが行われたほか、今年6月に開催した株主総会で環境活動家による進行妨害行為を受けたとしている。今月3日には「神宮外苑再開発について」と題するリリースを発表し、以下のように綴っている。

<当社株主総会にて、神宮外苑再開発につきましては、その重要性に鑑み、質疑応答に先立ち十分な時間を割いて、丁寧なご説明をさせていただきました。しかしながら、質疑応答に入ると、環境活動家の方が、議長からの論点整理等のお願いにも拘わらず、長々と持論を展開されるという事態も起こりました>

<日頃、皆様に親しまれている神宮外苑のみどりを維持するためには、継続的な樹木の管理、倒木や古くなった樹木の植え替えがどうしても必要です。神宮外苑の緑は人工林です。これらの管理や維持を日々行っているのは行政等ではなく、明治神宮をはじめとする土地所有者です。土地所有者の弛まぬ自助努力により、永年に亘り神宮外苑のみどりは守られてきました>

<当社がコンソーシアムに拠出する資金もまた、神宮外苑の施設建替や更新に活用され、そこからまた収益が生み出され将来に亘り神宮外苑の「みどりを守り続ける」ためへと循環していくのです>

<当プロジェクトは、既存樹木を出来る限り守りながら移植や新植もおこない、緑の量をこれまでよりも増やし、より豊かな自然環境を創っていくという計画です。有名な4列の銀杏並木については計画策定当初から伐採が検討されたことは全くなく、将来に亘り保全されます>

<もしこれら施設の建替が進まない場合、老朽化が進み近い将来には「みどりを守る」ための資金も得ることは困難になり、この先のみどりを維持管理することも出来なくなります。即ち当プロジェクトは神宮外苑の「みどりを守る」ために、その資金を捻出する周辺施設建替を行うものです>

<青山のこの地で43年に亘り東京本社ビルを構えてきた当社としても、都内でも稀有な素晴らしい神宮外苑の環境が破壊されることは、皆様と同じく認め難いことであり、全く望んではおりません。ブランドイメージの維持・向上のためにも、当社は神宮外苑再開発に、コンソーシアムの一員として最も高い関心を持って取り組んで参ります。その結果として、東京本社ビルの建替のみならず、コンソーシアムが目指す安全快適で緑あふれるまちづくりに長きに亘り寄与することができるのです。私どもが再開発計画に参加する理由がそこにあります>

<神宮外苑再開発におきましては、保存・移植樹木を含めた計画地内のすべての高木について毎木調査を行っており、プロジェクトサイト上に調査結果や保存・移植・伐採の方針、各樹木の樹高や幹周等を公表しております>

 これを受けSNS上では以下のようなコメントがあがっている。

<なかなかに素晴らしい激怒文>

<再開発は「神宮外苑の破壊」ではなく、むしろ明治神宮の緑を守り、神宮外苑を未来へ繋いでいくためのもの>

<ちょっと伊藤忠商事の本気を見た>

<企業からしたら決まってる工事の妨害・スケジュール破壊です。それこそ何千人の生活や仕事や生活に影響出ます>