円のキャリートレードのリスクはもちろん為替リスク。せっかく1年で4.5%の利鞘があっても、円で借りてドルに投資しているので、その間に円が対ドルで5%値上がりしたら利鞘はマイナスになってしまう。

ところが、最近では円はずっと対ドルで円安に移行してきた。つまり、利率の利鞘だけでなく、為替の利鞘も取れていたのだ。

例えば、1000ドル分の円を借りたけど、その後円安になり、返す時は800ドル分の円を返せばよかったりした。

日本はここ数年の世界のトレンドに反してインフレも高くならなかったし、利上げも今まではほとんどしてこなかったので、円高になる心配があまりなかった。

よって円のキャリートレードはますます人気になった。

円キャリートレードのサイズ

これがはっきりとは分からないのだけれど、$5trillion とも $10trillionとも言われている。

今日、出回ったドイツ銀行のリサーチレポートでは日本政府のバランスシート上のキャリートレードの総額が$20trillionで日本のGDPの約5倍だ、と言って物議を醸した。

なぜ今キャリートレードが撤収されているのか

今まで米ドルは金利が高止まり。日本円の利率はほぼゼロ。だからキャリートレードのリスクは低かった。

でもここへきて、米金利が下がり始めた。FOMCは9月から利下げを始めるし、経済も停滞気味なので長期金利も下がり始めた。

そしてさらに日銀は金利を上げ始めたのだ。

つまり今までの逆。

ドルの金利が下がり、円の金利が上がればキャリートレードの利鞘が少なくなるだけでなく、円高になるリスクも上がる。

よって円キャリートレードの魅力が下がる。

だから、今、円キャリートレードがどんどん撤収されているのだ。

円キャリートレードが撤収されるとどうなる?

円キャリートレードを撤収するには円の借金を返さなくてはならない。

そのために投資していた米株を売る。売った資金で円を買い、借金を返す。