■「悲報すぎる」と絶望する市民
前述のように狭山茶と宇治茶はライバル関係に当たるため、宇治茶一色となった自販機を見た入間市民は、さながらドイツ軍の侵攻を受けたフランス国民のような心境であっただろう。
件のツイートは投稿からわずか数日で1,000件以上ものRTを記録しており、他のツイッターユーザーからは「一体なぜ…」「これもう戦争だろ」「狭山茶の何がいかんのや…」「これは悲報すぎる」といった絶望の声が多数寄せられていたのだ。
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果たして、狭山茶の名産地・入間市で何が起こっているというのだろうか…。その謎を解き、日本茶界のパワーバランスを救うべく、今回は自販機を管理する「コカ・コーラボトラーズジャパン」(以下、ボトラーズ社)および、自販機が設置された「入間市博物館 ALIT」(以下、入間市博物館)に詳しい話を聞いてみることに。
すると、まるで少年漫画を読んでいるかのような熱い展開が明らかになったのだった…。
■これもう、アニメ化して良いだろ…
まずはボトラーズ社に件の自販機の詳細について確認したところ、こちらは「狭山茶の認知拡大」を目的として「いるま野農業協同組合」と協働で取り組みを始めた狭山茶専用の自販機であることが判明。
そんな由緒正しき自販機がなぜこのような状態になってしまったかについて、ボトラーズ社 広報は「一時的に狭山茶の在庫量が不足し、当自動販売機への補充が難しい状況になりました」と前置きしつつ、「酷暑の夏を迎えるに当たり、水分補給のために飲料を買おうとした際に、売り切れで買えないというリスクの回避と『狭山茶ではないけれども暑さにのどを潤したい』『すぐに飲料を買いたい』というお客様のニーズに応えることを総合的に判断した結果、暫定的に『綾鷹』を補充させて頂きました」と回答している。
つまり「綾鷹」(宇治茶)には侵略の意図は一切なく、むしろライバルの狭山茶(入間市)が苦境にある状態を見て、助太刀のためにやって来たのだ。
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主人公とライバルが「共闘」するという流れは、鉄板ながら非常に熱い展開。なお「綾鷹」が販売されていたのは7月16日から28日にかけての期間で、現在は従来の狭山茶が販売されているという。