■捜査線上に浮上した怪しい男
リンはホームシック気味ではあったというが、試験後のクリスマス休暇で故郷のコネチカット州に帰省するのを楽しみにしていることを周囲に話していただけに、まったくもって奇妙な“蒸発”であった。
確かに1年目の学園生活でリンはある程度のストレスを抱えていたと思われるが、それでも何もかも捨てて“逃げ出す”などということは考えられなかった。
クリスマスになったらリンが実家に戻って来るのではないかという一縷の望みもあったのだが、残念ながらクリスマスを過ぎてもリンが姿を現すことはなかった。
とすればやはり、リンは周囲が気づかない深刻な悩みやトラブルに巻き込まれて、何かも捨てて逃げだしたのだろうか。そして警察も徐々にこの“逐電説”に傾くようになったということだ。
しかしリンの家族は彼女はそんなことをするような娘ではないときっぱりと否定している。万が一にもそんなことをしようとするなら、家族の誰かや親友に事前に連絡するはずであるということだ。
ともあれこれ以降は新たな目撃報告や物証もなく、捜査は完全に行き詰まることになる。
事件から44年が過ぎた2015年に捜査線上に浮上してきたのが、リンが訪れた食料品店のオーナーであるロバート・ダーストという男だった。ダーストは2000年にガールフレンドであったスーザン・バーマンを殺害した容疑で2015年に逮捕されたのだ。
ダーストはほかにもかなり怪しい経歴を持っていて、2001年にテキサス州で起きたモリス・ブラック殺害事件で容疑者となったが、その後に無罪になっている。そして1982年に元妻のキャスリーン・ダーストやほかのいくつかの失踪事件の容疑者と見なされているのである。
今のところはリンの失踪とこのダーストを結びつける物証は皆無で、2人がお互いを知っていたかどうかもわからない。こうして2015年に一度は注目されたものの、この「リン・シュルツ失踪事件」はまったく解明の糸口がないコールドケース(未解決事件)として今も関係者を困惑させている。今後のダーストの裁判で、この失踪事件が50年を経て新たな展開を迎えることになるとすれば興味深い限りだ。
参考:「Murder, She Told: Maine & New England True Crime」、「Hollywood Reporter」、ほか
※当記事は2020年の記事を再編集して掲載しています。
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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