残業抑制策が裏目に
「入社 10 年目以上の主任級社員には、本人の申請で45時間分の残業代として一律 17 万円が支給されることになっています。申請しないという雰囲気は職場になく、みんな申請しているので、申請しました。 効率よく仕事をすれば、確かに所定時間働いていなくても、残業代をもらえる仕組みですが、仕事量は前と変わっていないので 45 時間ではとうてい終わらせることができません。
45 時間以上の残業をすると上司からものすごく怒られます。効率的に働けと言われるのですが、そもそも社内の決済システムが効率的ではないので、どうしようもありません。当然、休日出勤すると上司にも怒られますし、職場でも『仕事ができない』と陰口を叩かれます。
会社のパソコンを持ち帰ることもできないので、家で同じようなエクセルなどのフォーマットをつくって、仕事をしてプリントアウトして職場に持って行き、それを会社で打ち込んでいます。いろいろ社内規定に違反しているのはわかっているのですがそうしないと査定に響き、ボーナスに直結します。非常にしんどいです」(非技術職)
この社員が話しているのは、トヨタが2017年に導入した「入社10年目以上の社員に実際の残業時間にかかわらず毎月17万円を残業手当として一律支給する制度」のことだと思われる。
残業を短くするほどメリットが大きい仕組みとなっており、仕事の能率を向上し、長時間労働を無くすのが狙いだった。対象は主任級以上の社員で、本人の希望で申請し認められれば適用される。17万円は主任級の残業代だとおよそ45時間分に相当。これを超過して残業した分は上乗せして支払われるという。
いずれも社員証を確認の上、取材した。なかには、飲み会でのやり取りをICレコーダーに録音しているケース、約5年間継続的につけている日記帖にその日の就労状況に関して記載している例などもあったので、社内の相談窓口や労働組合に行くことを勧めたのだが、ある社員は次のように語った。
「相談や申請して、社内で変な目で見られたくない。守秘義務は守るとしていますが、会社の雰囲気的に絶対身バレすると思います。仕事は楽しいし、やりがいもあるので、会社に居づらくなるのも、辞めるのも嫌です。こういうやり方は批判を受けるかもしれませんが、もっと会社の雰囲気を良くしたいと思って取材に応じました」 (文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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