政治
2024/08/10
「未完」のバイデン外交と、目に見えるレガシー
バイデン政権としては終始イスラエル寄りの政策を取り、イスラエルとの信頼醸成を行い、同国の政策決定に影響力行使ができる環境を作るという、いわゆるベアハグ(強い抱擁)戦略を採用している。例えば、米国は国連安保理では一環しイスラエルに批判的な決議は「拒否権」を乱用することで潰し、イスラエル政府高官が戦争犯罪に問われる可能性が出るとICCの判断を厳しく批判して、鮮明に「イスラエル支持」を打ち出している。
しかし、バイデン政権の目論みははずれ、アメリカからの精神的、物的支援が揺るがないことを確信したイスラエルは自制するどころか、意図的に戦闘を拡大させようとしている。
イスラエル軍は4月にシリアにあるイラン大使館を空爆し、報復として大量のミサイル攻撃を受けた。しかし、これに懲りず、先日イラン大統領就任式に参加したハマス政治指導者をイラン国内で暗殺するという挑発的行動に出ている。
ガザ戦争は人道危機、米国のモラルリーダーシップの低下、そして石油危機につながりかねない中東地域での情勢悪化という誰も喜ばない状況を生み出している。
残り5ヵ月でどれだけバイデン外交が挽回し、ガザ戦争によって色褪せている政権全体のレガシーを守れるのかどうかはバイデン大統領自身にかかっている。
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